目を細めて口角を上げるイジワルそうな微笑み。

からかうトキのやんちゃな笑顔。

心臓を掴まれたような苦しそうな顔。

骨っぽいケドキレーで大きな手。

ちょっとハスキーな甘い声。



……浮かんできたのは。

全て郁だった。





郁のコトを考えるだけで胸がキュッって痛くなる。

郁の笑顔を思い出すだけで嬉しくなる。



私は教師だけど。

郁は生徒だけど。



やっぱり私は。



郁が好きなんだ…。



好きだから。

触れるだけのキスに物足りなさも感じたし。

もっと…触れたいって思ったんだ。





「………よ」



『…え?』





郁が何かを呟いた。

と、同時に視界を覆っていた手が外れて。



私は郁に抱きしめられた。