『…サクランボの茎、舌で結べる人ってキスがうまいっていうよね』
ピタッ。
髪に触れていた右手の動きが止まった。
…言っちゃった後に後悔はしたくないケド。
…恥ずかしい〜ッ!!
顔が熱くなるのがわかる。
私のこの言葉。
郁には誘い文句にしか聞こえないはずだ。
「…なにそれ…」
頭の上で“フッ”と軽く笑ったのがわかった。
その笑い方がまた私の羞恥心を煽る。
…もぉ…ホントに恥ずかしい…。
「…その台詞、誘ってんの?」
『…ッ!!』
耳に入ってきたその言葉に。
慌てて郁の顔を見上げると。
いつの間に取ったのか。
郁の指先にさっき食べてたサクランボの茎が摘まみながら。
目を細めて微笑んだ。
……久しぶりに見た真っ黒い笑顔だった。

