ドクンドクンと。
郁の胸から音がする。
「…マジでヤバいんだけど」
ハァ、とため息混じりに郁がつぶやいた。
『…ちょッ!!離してよ!!』
郁の心臓の音を聞いてると。
私まで恥ずかしくなってくる。
抱きしめられた腕を解こうと身を捩る。
「なんだよ、さっきみたいにおとなしくしてろよ」
『さっきのはカンチガイ!!』
「はぁ?!意味わかんねぇし」
郁の腕をペチペチ叩く。
これ以上抱きしめられてたら。
こっちがおかしくなりそうだッ!!
『ほ、ほらッ!!もう下に着くし』
ふと気付くと。
地面のだいぶ近くまできていた。
「あ、ホントだ」
郁は外を見ると。
私の体から腕を離した。
…景色は見れなかったケド。
いつも自信満々な郁の。
赤らんだ顔が見れたのは。
貴重だったのかもしれない。

