【ND第2回】雨


あの人の背中に残る赤い爪のあとを思い浮かべながら、ぼんやりと薄い闇を見つめていると、ちらりと傘の動くのが見えた。

透明な、ビニール傘。

血が、足のつまさきから頭のてっぺんに、いっきに駆けのぼるようだった。

あの人かもしれない。

わたしは瞬時にそう思い、そう思ったらそうであるしかないような気がした。

わたしはからだを反転させ、玄関に走った。

途中、足がもつれて転びそうになりながら。