症例2


にぎやかな校庭の奥にある旧体育館の裏、
薄暗く人気がない。
そこに男女がいた。



「あのさ、俺前から愛華チャンが好きだったんだ……付き合わない?」

ドキドキ……
ただいま私、水原愛華(ミズハラアイカ)高校1年生は告られてます!
しかも学年一秀才で運動神経もいい男子!
でもけして人気とはいえないが、暗くもない。
いわゆるフツーの子で、名前は仲井昇太郎(ナカイショウタロウ)クン。
どちらかというと草食系。
そんな子から告白されてます。

「えっと……私のどこが……好きなの?」

嬉しい告白に緊張して声が震える。
ついでに手足も。

「いろんな子に対して明るくて、優しくて……何より可愛い……」

わわわ!
明るくて優しくて可愛い?!
そんな言葉他の子に使いなさいよッ
でも嬉しい……
男子からそう言われるって。

「しょ、昇太郎クンの理想の女子が……私でいいの?」

私なんてそんなに可愛くないし、頭だってよくない。
おまけにドジばっかで天然ボケって友達に言われてるのに。
そんな私がなんて……

「うん、愛華チャンがいいんだ」

昇太郎クン……
理想が私だって言ってくれるの貴方だけだよ?
ありがとぅ……
すっごく嬉しい!

けど……

「ありがとぅ。でも私好きな子いるんだ」

一歩後ろへ下がる。

私には好きな男子がいるんです。
昇太郎クンの秀才ぶりとは正反対。

バカでいつも私をからかって意地悪ばっかするけど、
いつも一緒で……
つらいときや調子が悪いと誰よりもすぐに気づいてくれる、
明るくて優しい男子。
吉村和哉(ヨシムラカズヤ)……
いつのまにか好きになっていた愛おしい人。