『っ……。』
【主…!?】
『どうか、シンを助けて下さいませ…。阿修羅殿。』



弥勒は動かない手足を引きずって、阿修羅の目の前でその膝を折って見せた。
頭を床に着くほど下げて、三つ指をついている。


阿修羅は、驚愕に目を見開いた。



“これは、誰だ…?

ここにいるのは、誰だと言うのだ?
私の主は、どこへ行ってしまった?”



《悩むのは後よ!!》
〈そうですわ、そんなヒマはありませんもの。〉
【……主に手をかけて、タダで済むと思うな。】



仏界きっての武芸達者の阿修羅と、仏界一の策士愛染が揃えば向かう所敵なし。

ものの5分で大量にいた下級神は、綺麗サッパリといなくなっていた。








〈気がつきました?〉
『危ない所を…ありがとうございました。』
《やぁだ、水臭いわね!》



目が覚めたばかりで、ぼーっとしている弥勒の背中に強烈な張り手をくらわせる愛染。
いつもなら、足が飛んで来てもおかしくない場面なのだが…。