何とかシンを庇おうと頑張っていた弥勒だが、人間界の毒気に宛てられた身ではどうにもならなかった。

シンには傷一つなかった。


しかし、弥勒の体は傷だらけで美しい髪は乱れてしまっている。



『情けない…な、これが私の罪だと言うのか…。』
“これまで、ですな。”



数十人の下級神がグルリと周りを取り囲み、弥勒の長い髪を掴んでその髪を切るために特殊なナイフを押し当てた。

弥勒は力の入らなくなった体と薄れゆく意識の中で、ポツリと呟くと最後の反抗とばかりにつむじ風を巻き起こしその場に膝をついたた。


と、その時…。




【その手を離して戴きましょうか。】
《誰の許しを得て、弥勒に手をかけているのかな?》
〈わたくし達にバレないとでも…?〉
“あ、貴方達は!”



そこに割って入ったのは、阿修羅旺、愛染明王、阿弥陀如来だった。
大きく揺れた弥勒の気配を察知して、駆け付けたのだ。