愛染が外に出て行くと同時に、屋敷の外から幾つもの人間ではないモノの気配。

おそらく、追尾の下位神だろうと予測は出来た。たが、シンを抱えたまま神力を使う訳にもいかず、申し訳程度の結界を張ると外へと出ていく弥勒。



『厄介な事だ、こんな時に…。』
“弥勒菩薩様…そのお命、頂戴致します。”
『舐めるなよ?下級神ごときが…私に挑むか!』



格下の者が、己に歯向かう事など許せるはずもない弥勒。シンを腕に抱いたままで、ゆっくりと下級神に手のひらを向けた。


いわば、それは死刑宣告…。


仏界でも、天界でも、魔界でも共通しているのは格下の者が目上の者に意見する時は、命をかけると言う事。
特に、仏界は実力主義な所が大きく力の無い者は、神を名乗る事すら許されないのだ。



“その神の力を、返して頂く!”
『う……。』