「あーう。」
『……手を洗ってくる。』


すっかりやつれてしまった弥勒は、手を洗う為に洗面所へと向かった。


すると…。



「ふぎゃあぁーっ!」
『しまった、これがあったか…。』



そう、シンは弥勒の姿が見えないと泣くという事をすっかり忘れていたのだ。

慌てて手を洗い、抱き上げたシンの顔はもう笑っていた。



『厄介だ…。』
「たぁー。」
『お前のお陰で寝不足だ。』



弥勒はなんだかんだ言いながらも、シンを大切に育てて行こうと考えていた。

しかし、現実はそんなに甘くないのだと思い知らされることになる。








あれから、二週間がたった頃。
弥勒は一回り体が細くなっていた。

と言うのも、度重なる睡眠不足と食事をあまりとらなかった事が影響して、すっかりやつれてしまっていたのだ。

対象的に、シンが元気に手足を動かしている。



『……いい気なものだ、お前を拾うんじゃなかったな。』
「た……ぅ、ああぁーん!」