「男が由優のこと、放っておかねぇからさ…。攫われちまうだろ?」
穏やかな声だけど、耳元から顔を離して私を見つめた理緒の目は真剣な眼差しだった。
「だ、大丈夫だよ…!私には理緒しかいないから…さっきみたいに誘われてもキッパリと断るもん…。」
理緒を安心させたくて、ニッコリと笑顔で言ったんだけど…
おかしいな……。
理緒…、顔を俯けちゃった…。
気に障るようなこと言っちゃったのかな?
オロオロしながら理緒を見ていると、理緒は俯いたまま無言で保健室の扉を開けると、私の手をグイッと引っ張って中に入れた。


