最初に沈黙を破ったのは 春希だった。 「ホントに俺の事覚えてない?」 「だ…だから知らないって 何度も言ってるじゃないですか!」 「まぁ、いいや。それより早く行くぞ?!」 そう言うと春希は、あたしの腕を掴み引っ張りながら歩いていく。 「い…痛いって。離してよ!」 「あ~。わりぃ…」 ぱっ と手が離れたのを確認すると、 あたしたちは再び歩きだした。