僕はハタハタと、二年生の顔の前で手を振った。


そして、やっと開いていく瞼。





「…ん~?」





まだ寝ぼけているのか、目を掻きながら僕らを見た。


すると、一気に大きくなった目。





「こ…」


「こ?」


「こ、こ…小悪魔…っ!」





先輩は僕らを見るなりそう言った。


小悪魔って、僕らのネームじゃん…。


ちょっぴり、クスッと笑って、僕は先輩に笑いかけた。





「大丈夫ですか?先輩。寝てたみたいですけど…」



「あ、はい。大丈夫ですっ!!」





先輩は、すぐに立ち上がり、僕の微笑みに応じなかった。


今までの経験からで言うと、頬を染めたり、手で仰いだり…。


とにかく、僕の微笑みに熱を上げる。


だけど、この先輩は違う。


僕が気付いた時には、屋上のドアを開けて階段を下りていく音がした。