あたしが手を伸ばして、後輩くんから生徒手帳を取ろうとした。




「…え?」




なぜか、追いかけても追いかけても、遠くなる手帳。


…なんで?!


原因は、後輩くん。


あたしが取ろうとすると、必ず遠くにやる。




「ちょっ…!!」




あたしの声と同時に、後輩くんの腕の中にいる。


すると、耳元で言った。




「愛莉。僕の名前は、後輩くんじゃないよ…?」




え…えぇ!?


いや、そりゃ…分かってるけど…!!


耳が熱くなって、あたしは耳を押さえた。


そんなあたしを見て、クスッと笑う彼。





「僕の名前は、季一。はい、言ってみて?」



「…は?」



「早く言わないと、コレ…返さないよ?」





…はぁぁ?!


な、な…なんで、生徒手帳が人質みたいな…!!