愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


香椎くんはまだ黙ってる。

いつまで黙ったままなんだろう?

っていうか、どこへ連れて行きたいんだろう?

このままの道を行くとたぶんあそこ。

夕陽丘(ゆうひがおか)公園。

高台の上に作られたこの公園で、町並みを見下ろすことが出来て……子供たちが遊ぶのは勿論、恋人たちの憩いの場みたいなところでもあって。

私も過去、何度かはそこへ行ったことがある。

付き合っていた男……と呼べるほどのものじゃなかったけど、そんなかんじの男と行ったかな。

それでもってそんなところでキス迫られて、仕方なく恋人の雰囲気を掴むためにしてみたりとか。

風景みながら相手の『キミのここが大好きだー』みたいな話を延々と聞かされたりだとか。

した苦い経験が……


なんか……行きたくない。


けど、香椎くんはやっぱりそこに向かっているらしい。

目の前には小高い丘。


ああ、やっぱりとか思うけど……

香椎くん、なんかやらしーことしようとか……


ちら見して香椎くんの表情を確認してみる。


そんなかんじはないから……ちょっとだけホッとしながら。

ちょっとだけ残念な気持ちを抱える。