香椎くんは彼女の答えを聞くと胸を張り、私の方を見た。
何て顔してんだよ、キミ。
そのイジワルで勝ち誇ってて……なんていうか。
『ね? これで解決したでしょ?』
的な臭いがプンプン漂ってくるようなその笑みはなんですかね?
つーか、この男がいてよ。
まともな友人関係なんて築けるものなのかしら?
前途多難な未来が砂漠のように広がっている気がする。
「じゃ、これでお嬢様と私は帰りますから、お身体お大事に。
明日からまた学校で」
ひらひらひらひら。
彼女に手を振ると、私の手首を引っ掴み、香椎くんはとっとと部屋を後にする。
「ご……ごめんね~!!」
彼女は唖然というかんじで口をぽかんと開けたまま、私たちを見送った。
っていうかさ、なんで私が謝らなきゃならんのだ。
それもこれも、このたわけた男がいけないんだ!!
バカバカバカバカバカバカバカバカ!!
香椎毅臣のバカ、カス、ボケ、死……ねとは死んでも言えない。


