愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


それじゃどうしたもんか?

香椎くんがダメって言うのなら……


「しーさまでどうでしょう?」

「は?」

「えっ!?」


香椎くんの提案に、私も彼女も同じタイミングで驚きの声を上げた。

って。
私。

『は?』

はないでしょうに。

ダメだ。

本性ばれているって分かった途端に緊張感が欠片もなくなっている。

気をつけねば。
気をつけねば。


「えっと……なんで『しーさま』?」


そう尋ねると、香椎くんはこれ以上はないというほどイジワル~な顔。

右の口角だけをこうきゅっとね、あげたような笑顔で答えた。


「私、執事ですから。
『執事』の『しーさま』
言いやすいでしょう?」


そう言って彼女を見る香椎くんの目がなんとも言えず。

悪意たっぷり。

なんだろうね、香椎くん。

キミ、そんなに彼女になにか恨みみたいなもんがあるっての?


「いいよね、『しーさま』で」


もはやその念押しは脅迫ですよ、香椎くん。


「……分かりました」


彼女が激しく辛そうに見えるんだけど。

なんだかなー。

香椎くんの『しーさま』には別の意味も含まれてる?