「分かります!!
でも友達になっていただけたらきっと分かると思うんです!!
私、潔白です。
紫丞家の者ではありませんから!!」
そう必死に弁解する彼女に、けれど香椎くんは冷たい視線を投げるだけだった。
つーか、キミに決定権はないと思うのだよね、私。
彼女が友達になりたいのは私であって香椎くんじゃない。
香椎くんは確かに私専属執事だけども、個人的なことまでズカズカ踏み込まれては、それはプライバシーの侵害だって思うもの。
「香椎くん、いいかしら?」
とりあえず彼の手を引いて、彼女に「ちょっと待っててね」と声を掛け、病室の外に一旦出てみる。
「あのね」
「はい」
「友達になろうと思うんだけど」
「なりません」
そう言うだろうね、顔見たら分かるわよ。
「なんで?」
「厄介事を抱えるのは避けていただきたいのです」
「命の危険があるとか?」
「あると申し上げたら考えなおしていただけます?」
彼女と友達になることで命の危険があるって……
彼女を危険人物って言うのなら、あんただって相当『危険人物』だと私には思えるんだけどね。
むしろ、香椎くん以上の危険人物。
私には思い当たる節がない。


