「キミ、紫丞(しじょう)の家の者じゃないの?」
そう彼女に問う香椎くんに、私のほうがきょとんとなった。
えっと。
今、なんとおっしゃった?
紫丞って……紫丞財閥のことかしら?
聞き間違いにしたい。
紫丞っていえば、九条家と肩を並べる大富豪。
んでもって、私が『九条家』に嫁ぐか。
それとも『紫丞家』に嫁ぐか。
父方と母方の両家の争いにまでなり。
最終的に『九条』をとったという形になったらなった今、非常にnervousな関係にあるお家なんだから。
っていうか、もしも彼女がその『紫丞』の家に関わる人だったら……なんだって言うの?
「あの……私……」
答えようとする彼女に詰め寄る香椎くんが鬼怖いですけどね。
「ちょっと香椎くん!!
やめなさい!!
彼女はけが人なんだから、普通じゃないんだから!!」
そういう私に香椎くんはにっこりほほ笑み「じゃ、怪我が治ってからにいたします」と答えた。
いや……そういう問題でもないんだけどもね。


