「だから大丈夫です。
お嬢様は気になさらず、私のことは空気だとお思いくださいね」
ニッコリとキラースマイルを返され、あっさり頷く私のばかぁ!!
ああ、ダメだ。
ほんとにoutだ。
空気?
空気になってくれたらいいって思うよ、ほんとに。
だけど空気になられたらイヤだと思うアマノジャッキーになっている私がいるんだっ!!
責任とれ、責任とれ、責任とれ、香椎毅臣!!
「でもね」
立ち上がり、私に背を向けながら香椎くんはぽつんと呟いた。
「お嬢様の周りは危険がいっぱいなんですよね」
大丈夫。
安心しろって言ったのおまえだろうに、なぜにそんな不安を煽るようなことを言うんだよ?
なになになになになに?
これもなにかの作戦?
罠?
「危険すぎて目が離せない」
振り返ったその顔に影が落ちる。
執事の顔をしていない香椎くんの顔に……私は飲み込まれて呆然としそうになっていた。
のに……廊下の向こうからもの凄い悲鳴が聞こえてきたのはまさにそのときだったのだ。


