「それはお答えできません」
ドきっぱり。
香椎くんはにっこり笑顔を崩しもせずにそう答えた。
待てよ、こらっ!!
なんで答えられないっていうのよ。
だって、実際に命狙われたのは私だし。
それくらい聞いたって罰当たらないじゃない。
そもそも私の質問って答えられないようなものじゃないはずでしょ?
なに?
なに?
なに?
それとも同伴許可にはなにか違う理由でもあるっての?
「主人が聞いてるんですけど」
「それでもお答えできません。
とってもナイーブな問題なのですよ、お嬢様」
ナイーブな問題。
香椎くんが同伴することがナイーブなのか?
それとも学校側の問題か?
なんか、すっごくイライラする。
私なにも知らないまま、また怖い思いしろって言われてるみたいな気がするのよね。
すると香椎くんはスッと身をかがめ、座っている私と同じ目線になると机の上の私の手を取り「御安心ください」と言った。
「お嬢様が気になさるような問題ではないのですから。
それに……私が傍にいれば、絶対に大丈夫ですから」
『守るよ、キミを』
言葉じゃない言葉。
香椎くんの瞳から告げられる言葉に、私は心臓が飛び出すんじゃないかと思うくらいのドキっという音を聞いた。


