課題は嫌い。
宿題だって嫌い。
いつもいつも嫌いって言いたかった。
だけど言えなかった。
言わせてもらえなかった。
「では、私からお嬢様に一つ課題を……」
っていうか、あんたさっきの質問意味あるの?
私、課題嫌いって言ったじゃん。
前言撤回。
こいつのこと、ちょっとだけ見なおしたかんじになったけど取り消し!!
「笑いましょう」
「は?」
「笑えるようになったら課題はクリア。
クリアできたら……すてきなご褒美を差し上げますよ、お嬢様」
そう言って、香椎くんは握った私の右手の甲にそっとキスを落とし、上品なお辞儀をしてみせ、ニッコリと私にほほ笑みかけた。
笑う?
それが課題?
っていうか、笑ってるよね、私。
いつだって笑ってる。
これって課題クリアじゃないの?
混乱する私をよそに、香椎くんは前を見る。
「さ、参りましょう。
学校に遅刻してしまいます」
そう言うと、香椎くんは私の手をやんわり握ったまま、ゆっくりと歩き出した。
私は香椎くんに引っ張られる様に付いていく形になった。


