「じゃ、この場でセリにキスしてみろ!! そしたらちょっとは認めてやる!! できねーだろ? セリだっておまえのこと好きじゃねーんだからな」
ちょ……ッ!!
どうしてそんな展開になる!?
香椎君を見れば……なんかすっごく悪い顔してるんですけれど。
もしかして……!?
身体が緊張で強張った瞬間、香椎君の手が伸びてきて私の手を取った。
真剣な眼差しが刺さるほど私に向けられている。
ドクドクと心臓が早く鼓動し、足が地面に張り付いてその場から動けない。
「ちょッ……!! 待てッ!!」
マシューの言葉が飛んできたけれど、それより早く香椎君の顔が動いて奪われる。
柔らかく温かい感触が唇に微かに触れる。
刹那、立ち上るのは黄色い絶叫とマシューの断末魔にも似た叫び声だった。
「さっ、バカはほっといて参りましょう、お嬢様」
そう言ってぼんやりする私の手を香椎君は引っ張って走り出す。
「こぉんの、エロオヤジ~ッ!!」
マシューがその後を追いかけてくる。
「こういうのも悪くない……だろ?」
ね?
まったくなんてオオカミ執事だ。
そう思いながらも、そう言ってウィンクする香椎君にしっかり手を握られ走りながら、私はただ心の底から笑い返していた。
いつも。
いつまでも。
こうしていたいと願いながら…… 【end】


