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「ふっざけんな、この『エロオヤジ』!!」
「申し訳ございませんねぇ、私、足がとーっても長いものですからぁ」
私の目の前でデジャブが起こっている。
「避けたのに二段攻撃しかけやがって!!」
「お嬢様をよからぬ輩から守るのは執事の勤めでございますから」
擦りむいた膝から血が滲んでいるにも関わらず、マシューは気にすることなく香椎君へ突っかかっていた。
その間、私と言えば置き去りで。
いい加減、もうどうにでもしろと言いたくなっていた。
あの体育館の出来事から2週間。
マシューはここへ戻ってきていた。
ちゃんと話し合ってこの学校の近所の小学校へ転入もしてきていた。
詳しいことは知らない。
でも、前にもましてマシューは生き生きとし、はつらつとしているのだけは確かだった。
そして学校が終わると必ずここへ来る。
あの日。
香椎君を日本から留学してきた大好きな兄様と理解したマシューだったはずなのに。
なぜか兄様の影は薄れ、前と変わらない『エロオヤジ』呼ばわり。
「つか、セリはオレ様の嫁になるんだ!! おまえみたいなのが気安く触るんじゃねー!!」
「誰がお前の嫁だ!! そんなもの、オレに勝ってから言え、クソガキッ!!」
原因は他でもない私……らしい。
っていうか、勘弁してほしいんですけれど。


