「まぁ、勝負はオレの勝ちだし、迎えにも来てもらったんだからちゃんと家帰れ」
「な……ッ!!」
納得いかないという顔のマシューが立ち上がる。
そんなマシューに香椎君はにっこりと笑み「戻ってくればいいだろう?」と告げた。
「7年前みたいに突然さよならなんてことはもうしない。だから、ちゃんと父上と話し合って決めてこい。おまえがどうしたいか、どう生きたいか。ちゃんと話し合って解決してから戻ってこいよ」
「兄様……」
「オレたちはおまえの一番の友達になっていただろう?」
香椎君が私を見る。
私は黙って頷いた。
香椎くんってば本当に人が悪い。
初めからこれが狙いだったんだ。
全部分かっていて、全部吐き出させて。
こういうこと、全部一人で解決しちゃうっていうところに寂しさも感じないわけじゃないけど。
でも……あのさみしげな顔の理由が分かって、少しほっとしている私もいる。
瞬間、マシューの大きな瞳からぽろり、ぽろりと涙が零れ落ちた。
「まったくどいつもこいつも世話が焼けるな」
そんなことを零しながら、香椎君はマシューをギュッと抱きしめた。
ギャラリーが一人、また一人と体育館を去るその中で、マシューの大きな泣き声だけがそこに響いていた。


