愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


マシューは眉毛が今にもくっつきそうなくらい寄せて深い皺まで作っている。

香椎君は本当にいらっとするほど涼しい顔だし。

このままなにも起こらずにこの試合って終わるんだろうかと今さらながらハラハラしてきましたけど……


場の札に目を落とす。


『菊に青短』『芒に月』『松に赤短』『桐のカス』『紅葉に鹿』『藤に短冊』『梅に赤短』『梅のカス』


マシューはなにを取る?


『菊に杯』を持っているのであれば、ここで取っておくのもありだし。

『芒に月』を先にとって『三光』もしくは『月見酒』も同時に狙うのもあり。


と……初心者は考える。

マシューは迷っているみたいだった。


この試合。


持ち点がなくなった時点で勝敗を決するということだから、別にこの一回にすべてを賭ける必要はない。


お互いの持ち点は20点。


『花見酒』『月見酒』はそれぞれ5文だから、両方を揃えれば10文になる。

そこに加えて『三光』ならば6文。

『雨入り四光』ならば8文。

『四光』となれば10文で、この時点でマシューの勝利は確定する。
けど……問題なのは相手の手札。


この駆け引きをどうするかがこのゲームの見どころなんだけど。


香椎君の顔色を窺って心理を読み取るのは絶対に出来ない……と思う。


このしたり顔を見る限りは……だ。