愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


じゃんけんでの親決めでマシューは気合の入ったグーを出し、香椎君はさらっとチョキを出した。

当然のことだけど親はマシューで、子になった香椎君が札をシャッフルし、それを受け取ったマシューが札を配る。

って……あのシャッフルで香椎君がなんかしやしないかと目を光らせている私ってどうなの?

彼がいかさまするなんてことはないだろうけど。

それでも何か香椎君が企んでいる気がするから、どうにも気が抜けない。


「じゃ、行かせてもらうかんなッ!!」

「どうぞぉ」


にっこり顔の香椎君に、メラメラ闘志燃やしまくりのマシュー。

そんなマシューは場にあった『桜に幕』の札を『桜に赤短』の札でとる。

ま、『桜に幕』の札をとっておけば『菊に杯』の札と合わせて『花見酒』の役をてっとり早く作れるし、『三光』とかの布石にもなる。

って……花札をちょこっとしかかじっていない私にもそれくらいは分かるんだから、香椎君ならなおさらもっと深読みしているだろうことは明白で。

ちらりと香椎君に目を向ければ……ああ、納得のしたり顔。


やれやれ、もっとやれ。


そんな声なき声が聞こえてくるのは私だけならいいんだけど。

香椎君はと言えば、あえてそういう役札を狙わずに『カス』札を取りに来た。


しかも『桜』のカス。


なんだろう?

これも挑発なんだろうか?