愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


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後で気づいたことだけど。

結局うまくかわされた気がしたのは考えすぎ……なんだろうか?


「そのブロマイド!! 絶対貰うかんなッ!!」


目の前で扇子のごとく翻る写真を見て、苦笑いしか浮かばない。

3日前。

取り上げようとして取り上げられなかったものが香椎君の手の中でひらひら踊っている。


不覚にも。
本当に不覚にも。


香椎君の顔にドキドキし、香椎君の抱擁にドキドキし。

その存在をさらっと流されてしまったが故の結果がこれなわけで。


なんていうか、やはり腹黒というべきか。

さすが香椎君というべきか。


「では、さっそく始めましょうか?」


そう言うと香椎君はブロマイドを近づいてきた今回の勝負の審判員らしき人物に手渡した。

そして私をちらっと見て、にっこりとほほ笑む。

その笑顔に私の背後で甘いため息とバタバタと倒れる音が続いて起こった。

頼むから、勝負の前に多くの女子を病院送りにしないでよと言いたくなる。

それにしても、マシューがどんな勝負を挑んでくるかと思えば。


「オレ様の実力舐めんなよッ!!」


まさか、まさかの……


「それは楽しみです」


花札って……どんだけ日本通なのよ?