「どうしてそうなるんだよ」
香椎君の申し出に若干マシューがたじろいだ。
あれ?
そんなに家帰ることって嫌な申し出だったの?
「勝てばよろしいだけの話でしょう? お嬢様をお嫁にできて、帰らない大義名分ができて好都合だと私は思いますけれど」
にっこりにこにこ。
なんていう悪人の笑み!!
一緒に住んでから本当にすごくよく分かるようになったんだけど、こういう『淀み』のない『作り笑顔』のときは、腹の中でなにか黒いことを企んでいる……ような気がする。
それでも頷けないでいるマシューにさらに香椎君は追い打ちをかける。
「自信がおありなのかと思ったのですが、買い被りすぎだったようですねぇ。勝利した暁にはお嬢様の秘密『ブロマイド』も差し上げようかと思ったのですけれど」
はッ!?
なになになになに、秘密『ブロマイド』ってなに!?


