「上等じゃねぇかッ!! やってやんぜ、このヤロウ!!」
小さい握りこぶしを突き出して、そうマシューは叫んだ。
こんな天使のような顔から、どうしてこんな日本語ばかりが出てくるんだろう?
この子に汚い日本語を教えた張本人を見つけ出して説教したくなる。
「では勝負の内容はそちらにお任せするとして……一つ、私からも条件がございます」
丁寧な……本当にゆったりとした口調で香椎君は言った後、もたれかかっていた背を起こした。
「私が勝ったら素直に『家』に帰ってくださいますよね?」
ニコリ。
口元は笑っているのに、香椎君の眼光はこれ以上はないほど鋭く輝いて見えた。
なにかを含んでいるときに見せる……そんな瞳。
っていうか、また私の知らないところでこの人なんか考えているんだろうか?
ほんっとに秘密主義。
主人にまで秘密主義。
まぁ……執事って言っても皮被っているだけだから、仕方ないと言えば仕方ないんだよね。
中身は紫丞の御当主様。
秘密主義当たり前。


