愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


こういう場合、香椎君の名前をあげていいものなのか?

マシューを見る限り……それはアウトな気がしてならない。

香椎君なんて言った途端に『勝負だ!!』と叫んでどこでも行っちゃいそうなくらいの勢いはマシューから感じる。


「えっと……」


天を仰ぐようにマシューから目をそらす。

諦める気配ないよね、ないよね、ないよねぇ……どうしたもんかしら?

そのときだった。


「ではその勝負、この私がお受けいたしましょう」


そんな声が聞こえてきたのは――

振り返る医務室の扉にもたれかかるようにしていらっしゃったのは、そう。


言うまでもなく香椎君。


「なーんでエロオヤジと勝負しなきゃなんないんだッ!!」


憤り露わなマシューに、けれど香椎君と言えばお得意の涼し顔。

それから「当然」と言い放ち、ニッと意地悪な笑みを湛えて見せて。


「お嬢様の『秘め事』を守るのも『執事』の大事な『お仕事』ですから」


そんなことを言い切った。


って……『秘め事』なんていう、やらしい言い方しないで欲しいんですけどね。