愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


「セリ……」


不意に名前を呼ばれる。

香椎くんの顔からは小さな笑みさえなくなっていた。

どこか決意に満ち。
どこか不安げ。

そんな揺れるような瞳が私を捕えていた。


「オレが好きか?」


思いもよらない一言に、一瞬心臓が固まってしまった。

ギュッと締め付けられて。
キュッと小さく鳴る。


好きかって。

どうしてこのタイミングで、そんなふうに聞くの?


「どうして……急にそんなこと聞くの?」


尋ねた私に違う質問が返ってくる。



「もしもオレが結婚してほしいって言ったらどうする?」


なんで質問したのに、質問で返すんだよッ!!

って言いたいのに、あまりにも予想していない質問すぎて……私は言葉に詰まってしまう。


結婚?

結婚できるよね、18だもん。

でもどうして結婚なわけ?


「『紫丞孝明』の妻になってくれって言ったらどうする?」


畳み掛けるような質問だった。

執事さんにも聞かれた。

『紫丞の当主に結婚してくれと言われたらどうする?』と――

そのときはそれが香椎くんだと思わなかったから考えもしなかった。

でも現実に突き付けられて、私はものすごく戸惑っている。