愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


「では、これで貴方を生かしておく理由もなくなりました。高志さんから学んだ潔さでここであなたの命も差し出しなさい」


冷めきった一言だった。

香椎くんに対して愛情もなにもない。

肉親でないからなのか?

おばあさんは心底嫌なものをみる目つきで香椎くんを見つめ、まわりを取り囲む黒服の男たちに『やってしまえ』と言うように片手を上げて見せた。


その合図に男たちが一歩前へ踏み出す。


やられる!!

香椎くんも、執事さんも相当強いけど。

この人数じゃ絶対にやられる!!


そう思ったけれど……


男たちはそれ以上私たちににじり寄ることもなくて。

ううん。

男たちが取り囲んだのは私たちじゃなくて、おばあさんだった。


「な……」


言葉を失ったのはおばあさんのほうだった。

瞬間、香椎くんはにやりと微笑み


「オレがなんの策もなしにここへ来たとでも思っていたんですか? 今の当主はあなたではなく、オレなんですよ、美耶子さん」


余裕たっぷりに優雅に足を組み直し、香椎くんは肘までついて顎をしゃくるようにしながらおばあさんに言い放った。


「さぁ、謝罪の時間ですよ。おばあ様」

「……貴方は……恩をあだで返す気なの!?」


バンッ……と机を叩くようにして立ち上がるおばあさんに向かって香椎くんは違うというように首を振って見せた。

そしてゆっくりと立ち上がると、周りを取り囲むようにしていた男たちに下がれというように合図して見せた。


男たちが入ってきた扉へと一人、また一人と戻っていった。