「執事にこのゲームを任せて……なんで今頃来た!?

オレは勝ったんだ!!
秘石も手に入れた!!

おまえの出る幕なんてもうないんだよ!!」


そう叫ぶ岳尚に、けれど香椎くんは「そうか?」と尋ねて見せた。

それが相手の神経を逆なですることに繋がると分かってしている顔に、どこかホッとしている自分がいる。


「真打は最後の最後。

ピンチのときに現れるもんでしょ!?

これ、勝利の鉄則。

これこそ、オレの勝利の方程式」


あんぐりと……岳尚は言葉を失って口を半開きにさせている。


いや、香椎くん。

そうかもしんないけどさ。

最後の最後っていうならば、『秘石』賭けるところでご登場のほうがよかったんじゃないの?って私的にはツッコミたい。


「さぁ、最後の一勝負と行こうじゃないか?

九条と紫丞、当主同士のガチ勝負をね」


ニヤリとそう笑う香椎くんに、私の不安が吹っ飛んで行く。


もういい。
香椎くんが紫丞の当主っていうのなんてどうでもいい!!


今はもう、全てを彼に委ねたい!!
そう思うから。


余裕の笑みを浮かべ、香椎くんは彼の執事が座っていた席へ静かに腰を下ろした。


長い脚を組み、そこに組んだ両手をゆったりと乗せる姿は執事とは程遠い。


そう、大財閥の当主の貫録溢れる姿そのものだった。