「戦い?」
なにを言いだすのかと思えば……戦争でもしに行くのだろうか?
そもそも誰と戦うと言うのか?
不可解すぎる言葉を紡ぐその人はとても冗談を言っているような雰囲気ではないし。
かといって、『そうですね、わかりました』と言えるほど。
状況も。
内容も。
理解しているわけでもない。
「意味がわかりません」
正直に紫丞孝明にそう告げると、彼は右手をまた膝の上に戻し「そうですね」と答えた。
「九条が試合を申し込んできました」
「九条が?」
「はい。
綾渡、紫丞、九条三家による試合を行いたいと」
そこで彼は一旦話を切ると、ふぅっと小さく息を吐いた。
「私は条件をつけました」
「条件?」
「試合を受けるに当たって一つ、九条に条件をつけました。
一つ、これに綾渡、紫丞のいずれかが勝利した場合。
以降、一切綾渡の家には関わらないこと」
それなら簡単じゃ……と言おうとした私の考えを察知したらしい彼は小さく首を振った。
「九条が勝利する絶対の自信なくして、こんな条件を飲むとお思いですか?」
あなたもその身で経験しているでしょう?
そう付け加えて紫丞孝明は切れ長の瞳をゆっくりと閉じた。


