「おまえ、オレに手を出して……ただで済むと思ってんのか!?」
ゆっくりとフラフラした足取りで岳尚様は立ち上がった。
顔は腫れ、鼻から血が滴っている。
相当な力で殴られて、こりゃ明日は見る影絶対にないわってかんじがする岳尚様の目は憎悪に満ち溢れていた。
けど、香椎くんはと言えば、そんな言葉に臆すこともなくて。
「おまえがセリに手を出したのが悪いんだ。
何をどうしようとオレもおまえを許す気はない」
香椎くんの岳尚様に対する態度って……どうしていつもこんなに上からで、でっかいんだろう?
岳尚様は一度グッと唇を噛みしめるとニタリと笑った。
「じゃ、いいんだな?」
「好きにしたらいい。
最初から勝負は決まっていると言ったはずだ」
「おまえの祖父母や両親はどう思うのかね?
それでもやろうと?」
「今、権限を持っているのはオレだからな」
話が全く見えませんけど。
『権限』ってなに?
なになになに?
「綾渡の『秘宝』がそんなに欲しいのかね、おまえ?」
「その言葉はそっくりおまえら『九条』のカスどもに返してやる」
すみません。
本当に話が見えません。
『綾渡の秘宝』ってなに?
なになになになになんなのよっ!!


