愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


まるでスローモーションみたいに、ムササビみたいに手を広げ、足を広げた香椎くんの姿が降りてくる。

いや、ムササビって例え悪すぎるんだけども。

でも、それっくらい衝撃がでかくって、まともに考えられないっていうのが正直なところで。

ウソウソウソウソウソウソ!!

絶対に着地失敗とか言わないでよー!!


とか心臓バクバクで。

でもって岳尚様もあまりのことに口ぽっかーん開けてて手は止まってるし。


バンッ!!


っていう大きな音ともに香椎くんは見事に私たちのゴンドラ上部に着地して、片膝立てた姿勢で思いっきり拳を振り上げた。

っていうか、これガラスじゃないから絶対に割れないと思うんですけど。


とか思っていたのに、その力ハンパなくって。


上部のプラスチック製の窓が思いっきり外れて、香椎くんが私たち二人の前に降り立ったときにはもう痺れるやら、のけぞるやら。

いや……これ現実?

私、夢見てるんじゃないの?


そんな私たちに詰め寄ると香椎くんは思いっきり岳尚様の顔をぶん殴り。

その勢いが凄まじくって、岳尚様が吹っ飛んで壁に激突して、観覧車がグラリと大きく揺れ動いた。


怖すぎです。


香椎くん本人も、この不安定な乗り物も。


頼むから地上に無事に着くまではどうかこれ以上は揺らさないで!!

とは切実な願い。