愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


とりあえず時間を稼ぎたくて、テントウムシから出ている紐を引っ張った。

瞬間、ビービービービーけたたましい音をテントウムシは鳴り始めた。


「な……んだ、この音は!!」


焦ったように岳尚様は耳をふさぎ、そこにほんのわずかな隙が生まれる。

急いで身を反対側へと滑り込ませる。

ムダだとは思うけど、とりあえずこの狭い空間を行ったり来たりしながら逃げなくちゃ!!

なーにが既成事実よ!!

私は絶対にそんな勝手な事されないんだから!!

だいたい、なーにが九条なのよ。

日本屈指の大富豪だから、なにしても許される?

冗談じゃない!!


「防犯ブザーだと!! ふざけた真似しやがって!!」


本性が丸見え状態になっても構わない岳尚様に私はついに捕まって、観覧車の端に追い詰められる。

腕は強く押さえつけられ、ぎらぎらとしたハンターみたいな目つきの岳尚様が目の前にいた。


ぐぃっと顎を掴まれて、強引にキスをされる。


「や……!!」


抵抗しようとしたけれど、チュニックの下から岳尚様の手が侵入してくる。


「や……だ!! やだ……!!」


助けてよ、香椎くん!!

このままじゃ私、本当に汚されちゃうよ!!