周りを見回してみれば、確かに香椎くんの言う通り。
迷子になりかねないほどに人が溢れている。
これははぐれたら大変だわ。
仮にはぐれてもGPSつきテントウムシがあるから、香椎くんが絶対に見つけ出してくれるだろうけどね。
「さぁ、一番にどこに行きますか?」
香椎くんが私の隣に並び立ち、ぐるりと園内を見回している。
さまざまな種類のジェットコースター。
観覧車。
お化け屋敷。
ゴーカート。
メリーゴーランド。
ウォータースライダー。
逆バンジー。
そこここから人々の嬉々とした声が聞こえてくる。
どれにしよう。
どれにしよう。
迷って迷って私は目の前の大きく聳え立つジェットコースターを指差した。
「あれ!!」
「だそうですけれど、いかがいたします?」
挑戦的な視線を送る香椎くんに、岳尚様は両手を開き「行ってきていいよ」と言った。
「ボクはああいう絶叫系に興味はないので、今回は『お供』のあなたにお譲りするよ。
せいぜい楽しんできて」
「香純さんは?」
私が聞くと香純さんは顔を振って「遠慮します」と答えた。
「私、まだ本調子じゃないので、ああいう怖いのは……」
「そっか……」
じゃ、香純さんと岳尚様は乗らないのね。
チョイスミスったかなぁ?


