愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~


車中の雰囲気はそれで一応流れが変わり、岳尚様のもてなしで目的地までに飲み物やら食べ物やらが途切れることがなく。

私は出されるものを飲み続け、食べ続けていた。

香椎くんは一切手をつけない。
香純さんは果物を少々。

岳尚様はシャンパンなぞ飲んでいらっしゃる。

一応未成年なのに……誰もツッコミは入れない。

そうね。
車中にあっては九条のテリトリー。

法律もなんも関係ない……というところ。


「ところでどこに向かっているんです?」


目的地を明かさない岳尚様に香椎くんが尋ねた。

うん、目的地は知りたいね。


「うちが保有している『遊園地』ですよ」

「『エターナルランド』か」

「そうです。『エターナルランド』ですよ」


『エターナルランド』

永遠の楽園っつーすんごい名前がついた九条財閥保有の遊園地。

世界最高速のジェットコースターだの逆バンジーだの、その種類は他の遊園地を圧倒し、一つの乗り物に対して一時間待ちは当たり前という超人気スポット。


最初のデートにそこを選ぶっていうのは鉄板だわね。


「貸し切りにしたんですか?」


香椎くんの質問に、岳尚様はにんまり意地悪く笑って見せた。