『ここいて…じゃなくて居ろ!動いてたら食うからな!』

その子猫のような眼差しに、ウチは金縛りにあったように動かなくなってしまった。

そこは1つ浮いたようなメルヘンな椅子があった。
雄獅のか…。

ウチは雄獅の椅子に座って雄獅が走り去るのを見ていた。

すると基地の外の風景を見て、はっとした。

そこにはまっくらな景色があったのだ。

「今、何時?!」
ウチが聞くと、

『9時。』

そんな、親にウチが怒られちゃうじゃない!

「帰る。」
ウチが帰ろうとすると子猫…じゃなくて雄獅が目を潤めてこっちを見る。

まるで捨て猫が自分を飼ってと言わんかのごとく。

『帰るのか?』

…泣きそうな声で初々しい俺様口調でそれは反則でしょう!

そんな感情をグッと堪えてあえて冷たく言った。

「帰るから。」

もう、雄獅は泣きそうな目で見てくる。

『危ないから送る…家教えろょ。』

頑張って!って言いたくなるような口調。

「後ろ乗せて、案内する。」