「あ!えっと、ごめんなさい!…何をウチにしろと…」

ウチが聞くと雄獅は
『名前』
と言った。

ウチが意味も分からずほうけていると
『間抜け面…ププ…名前言えよ。』
半分笑いながら聞かれた。

その時の雄獅ったら可愛いのなんのって…
「え、あ、季折 珠夏(きおり しゅか)です!」

『しゅか?…俺についてこいよ。』

時折入る俺様口調が板に付いてなくて初々しい…可愛い。

ウチはノコノコと雄獅の後を付いていった。

それが間違いだったんだ…先生の言ったとおり知らない人にはついていったらダメだ…。

そこは族がたまっている倉庫…たまり場だった。

『雄獅〜、その子誰ぇ?可愛い…食べちゃっていいのぉ?』

ウチをニコニコした顔で見ながら言ってくる。

まるでウチの反応を面白がってるかのように…

ウチは雄獅の服の裾を握る。

雄獅は気付いてくれたのか、手を握り
『俺が見つけた俺の餌!…お前等手ぇ出したら殺す…つか、食い散らかすぞ!』

その言葉に少しホッとさせられた自分がいた。