ぐいっと力強く引かれた腕 その方向へあたしの身体は流されて 何か 知っているような感覚が あたしを抱き留めた 「っ……杉…下く…っ」 あぁ、これだ この香 落ち着いていくのが 解るんだ その 匂いに 声に 雰囲気に 体温に 存在に 「お前、好きなんだろ」 「必要なんだろ」 「欲しかったんだろ」 杉下くんは なにが とは言わなかった。 でも それは 自分だけでは一生出せなかった あたしが欲しい 答えだったんだ ・