「はぁ、…んっぅ」
やっとのことでたどり着いた…
苦しい…
どさっと洋式トイレに蓋をして座り込むと
静かに目を閉じた
しばらくして落ち着いた頃
ぱちっと目を開けると
あたしはがさごそと鞄をあさってまだ未開封のそれを取り出した
「あたし馬鹿なのかなぁ…さっさとこうすればよかったのに」
あたしの手には
杉下くんと同じ種類の煙草がにぎられていた
ぼっと音をたてたのは
杉下くんの煙草に火を点けるためにもっていたライターだった
そっか
あたし、
ろくに煙草の吸い方も
知らなかったんだ
ふーーーっ
「けほっけほっ……………」
「まず………」
小さな呟きは立ち込めた煙りといっしょに溶けて消えた
結局
あたしの心は
満たされることはなかった
ただ、
焦燥感だけが残った
もはやどうしたらいいのか
解らない

