――ブーーーッ…

電車発車のベルが鳴り響く。
春は階段を駆け降りて、1両目のドアに駆け込む。
春が入ったと同時にドアが閉まった。


この時はまだ気付いてなかった


春がドアにもたれようとすると横から女の子の悲鳴が聞こえた。
驚いてそっちを見る。


――茶色の長い髪、裾でカールがかかっている。
目が大きくて鼻筋がすらっと通っていて、唇は柔らかそう……


彼女は春を見て言った。


「痛いです」


下を見ると彼女の足を踏んでいた。