始末屋

「あなた達に始末してほしいのは……」



理恵の表情が曇り、言葉が止まった。



何だよこいつ…。


依頼内容も決まってないのに来たのかよ。


「ねぇ…あなた達にとって依頼人は直接依頼したのが依頼人なの…?それとも……裏に居る巨大な存在が依頼人なの…?」



優がわからないような顔をして俺を見る。


俺は煙を吐いて口を開いた。



「お前の足でここに来て、お前の口で依頼を言えば…お前が俺達の依頼人だよ。裏に何が潜もうが関係ねぇな。ここに直接来て依頼言えない奴には興味がないんでな。」


そう言うと、理恵は安心したような顔をする。



「…あなた達に始末してもらうのは…牧瀬組に奪われた結城グループの重要データのフロッピーよ。」



「えっ?!重要なフロッピーなのに始末するの?!」



優が驚いて言う。



でも、確かに同意見だ。


重要データのフロッピーって言ってるのに始末しようなんて、こいつバカか。



何か裏があるか……。



「別に俺達は構わないが‥そのフロッピーは結城グループにとって大切なんじゃないのか?」


俺がそう言うと、理恵はうつむいて歯を食いしばる。


「あんな物‥結城グループには必要ないわ…。」



なるほどね。


こいつの独断かい。



「俺達は慈善事業じゃねぇ。まして‥裏で活動してる人間だ。牧瀬組とやり合って、結城グループに目つけられたりしたら活動ができなくなる。それ相応の代償がいるぜ?」



理恵はカバンから通帳と封筒を出した。



「あなた達がかなりの人なのはもうとっくに調べたわ。前金で100万、成功すれば‥‥通帳には400万入ってるわ。これでどうかしら?」


俺は封筒を手に取った。



「最終手段なんだろ?ヘマしないように頑張るわ。また仕事が終わったら連絡するから今日は帰れ。」



そう言って、不満そうな顔をした理恵を追い返した。