裏路地に入ると、やっぱりホームレスがあちこちに居た。



しかし、誰から聞いたらいいのやら…。


タバコをくわえて火をつけた。



とりあえず目についたホームレスから話を聞いてみることにした。



「おい。少し聞きたいことがある。」



ホームレスの男は俺を睨む。



「あんたみたいな若い奴が何の用だい?」


俺は真正面に座った。



「この辺で起きてる神隠し事件について何か知ってるか?」


そう言うと、その男は他のホームレスの男を指差した。


「あんた…何のつもりでそんなこと聞いてるか知らないが‥あまり首を突っ込まない方がいいよ。」



煙を吐いて、財布から1万円出して渡した。


指差した男の方に向かい、話しかけてみた。



「少し聞きたいことがあるんだが‥いいか?」


男は指を1本出した。


「タバコを1本くれないか?」


ポケットからタバコを出して、1本渡し、ライターで火をつけてやった。



「ふぅ~…。兄さん、神隠し事件について聞きたいんだろ?」


「あぁ。情報が欲しいんだ。」



男はタバコを吸って、話し始めた。



「あれは3日前くらいだ。食べる物を探していると、この暑い時期なのに真っ黒な長いコートと顔も見えないくらい深く被った黒い帽子を被った奴が居てな‥気になるから少しつけてみたんだ。

すると、そいつが他の奴に会った瞬間にな…そいつはパタッと倒れて、体から青白い光が出てきて‥それがその黒い奴の中に入ったんだよ!

その後、死体をそいつが運んでいった。

俺はあれが神隠しの正体なんじゃないかと思うんだが…。」



黒い男…。


青白い光は人の魂か…。


だが…死体をなぜ運ぶ必要がある。



「ありがとう。これは情報料だ。」



1万円を置いて、その場を後にした。