「ん…。」


目を開けると皆が俺を囲んでいて呆然と見つめていた。


な…何だ…?



「か…薫…?薫…だよね…?」


優が俺に聞く。


「あぁ?何言ってんだお前。」


そう言うと優は皆を見回す。


「本当に薫だ!!よかった…!よかったよ~…!!」


優は泣きながら俺に抱きついた。


「何だよ!気持ち悪い…!」


俺は優を引き離そうとした。


「薫~~!!よかった…!本当によかった…!このまま死んじゃうかと思った…!」


玲央奈も俺に抱きついてくる。


「何だ…お前ら…。」


2人を見て言った。


「バカ…!生きてるなら…さっさと起きなさいよ…!」


涼風は涙を流して言う。


「よかった…!よかったよ…!」


唯香も泣きながら涼風に抱きついた。


「はぁ。…貴方に死なれては…由莉恵と晴が浮かばれませんよ…。」


「全くだ!」


史朗と二朗がホッとしたように言う。



「ほんまによかったな!けど…お前ら薫はんから離れんかい!」


楓は優と玲央奈を俺から引き離した。


「一番抱きついて喜びたい人間に…ちゃんと抱きつかせんかい!」


楓が笑って言うと、楓の後ろから桜が出てきた。


「……桜…。」


桜は涙を堪えて俺に抱きついた。


俺は桜の体をしっかりと抱きしめた。


「バカ…!薫…バカだよ…!私…薫が居ないと……幸せになんかなれないよ…!」


桜が涙を流しながら言った。


頭がボ~ッとしててよく覚えてなかったけど、俺はあの時桜を逃がしてたのか…。


「ごめんな?もう大丈夫だ。俺はずっと桜の側に居る。悲しい思いはもうしなくていいんだ。」


頭を撫でてそう言った。


桜は何度も頷いて俺から離れなかった。