「お前が居たから…出会えたんじゃねぇか?あんな奴らに。最初は憎かった…。何で俺が何もかも奪った悪魔と過ごさなきゃいけねぇんだって…何回思ったことか…。

でも思うんだよ。あのまま何も起きずに高校受験をして…もし受かって…もし桜と2人で同じ高校に通ったとして…俺は桜を今よりも大切で愛しく思えただろうか。

多分思えねぇ。どこかで終わってたはずだ。…普通の人間にはわからないような世界を体験して、普通の人間にはわからないような力を持ち、普通の人間には信じられないような戦いをして…桜を取り戻した。

この今のいつ死ぬかもわからないような生活が無かったら…この力が無かったなら…俺は側に居る人間の大切さなんか一生知ることができなかったはずだ。

だから一応お前には感謝してる。

これが…契約者じゃない荒西 薫の人間としての思いだ。」


アビルは笑い始めた。


『この悪魔の俺様に感謝?お前を追い詰めた悪魔だぞ?』


「それでもお前は俺の最初の相棒だよ。どうだ?今までの戦いで…俺はお前を驚かせたか?」


アビルに笑って聞いた。


『まぁ、この俺様に相応しい御主人様だったよ。久しぶりに俺様の力を使いこなす人間に出会えて、楽しかったよ。』


俺は目を瞑った。



「ならいい。好きにしろよ。これ以上言うこともない。」



『お前はつくづくおかしな奴だ!だからこそ面白かったぜ?薫。』