―優―
「薫…!…薫…!嫌だよ…。離れたくないよ…!」
桜ちゃんは閉ざされた闇の前で手をついて涙を流していた。
何で…薫…。
桜ちゃん…泣いてるんだよ…?
好きな人に…何で辛い思いを…。
薫…本当に…戻ってこないの…?
俺も泣きそうになって地面を見つめた。
「優君。」
涼風さんが俺の頭を撫でる。
「優君が言ったのよ?私達にできるのは…薫を信じて待つことだって。優君が諦めかけてどうするの?信じるって決めたなら…最後まで薫のことを信じてあげなさい。それがパートナーでしょ?」
涼風さんは笑って言った。
「貴女も…薫のことが好きなら…ちゃんと信じてあげなさい。私達だって不安なの。でも貴女が信じてあげないと意味ないでしょ?私達にできるのは…ここで薫を信じて待つことしかできない。
…大丈夫よ。あの子桜、桜ってずっと言ってたんだから。きっと貴女の涙を拭きに来るわ。かっこつけた顔してね。」
涼風さんは桜ちゃんを抱きしめて言った。
「あとは…薫はんが落とし前つけるだけやろ。薫はんは意外に根に持つタイプやから怖いで~。悪魔に同情してまうわ!」
楓が笑って言った。
「…でも…薫は…。」
玲央奈君がうつむいて言う。
「辛い時こそ笑顔や。なかなかでけへんことやけど…顔だけ無理矢理笑っとけば…何とかなるって気にもなる。そうやろ?優。」
楓は俺の方を見て言う。
「うん。…きっと大丈夫だよ!!薫の命は死神でも取れないよ!だって死神もやっつけそうだしね!」
俺は精一杯笑って言って、桜ちゃんの方に行った。
「だから…信じてみよ。薫を…。不安でも大丈夫!俺達がついてるから!」
「…ありがとう…ございます…。」
桜ちゃんは涙を拭きながら言った。
薫…戻ってこないと…俺が薫を殺すからね。
ちゃんと帰ってきて、桜ちゃんの涙を拭いてあげて…。