「辛い戦いだったか…?」
俺は涼風と楓に聞いた。
「薫…道は開いたわ…。絶対…デスアビスを殺して…!約束よ…?」
涼風は目に涙を貯めて言った。
「必死で開けた道や。負けるなんてこと許さんで?」
楓が真面目な顔をして言う。
辛い戦いだったんだな…。
「涼風姉さん!」
奥から唯香の声が聞こえて見てみると、腕が無くなった史朗と、ボロボロの二朗が目に飛び込んだ。
「史朗!!」
俺はすぐに2人の方に向かった。
「カオルン。史朗さんの体…確実に限界を越えてる。すぐに治してあげて?」
唯香が俺を見て言った。
「僕に任せて!」
玲央奈が俺の横に来て、史朗と二朗をあっという間に治した。
「史朗…。晴と由莉恵はどうした…?お前の腕は…」
史朗は辛そうに口を開いた。
「少しばかり強い悪魔が私達に向かってきて…晴と由莉恵は……戦いの中で死にました…。その悪魔を倒す為に…腕も無くしました…。」
晴と由莉恵が…死んだ…。
おまけに腕まで…。
全部…俺のせいだ…。
「…お前が自分を責めてどうする。2人は戦いの中で命を落とした。それは近くに居た俺達の責任だ。お前には…下を向く暇などないだろ。何かしてやりたいと思うなら…元凶を必ず倒せ。それがお前があの2人にできることだ。」
二朗が俺の肩を掴んで言った。
「由莉恵から伝言があります。貴方が傷を治してくれた時から…貴方をずっと思っていたと…そう言って由莉恵は死にました…。」
そんな言葉…。
俺の目の前で言えよ…。
悔しさが込み上げてきて、涙が溢れそうになったが、涙を拭いて立ち上がった。